学会からのお知らせ

日本看護研究学会主催から会員の皆様に向けて情報を発信しております。

第95号 (平成26年9月20日発行)

一般社団法人日本看護研究学会第41回学術集会in広島の開催にあたって

一般社団法人日本看護研究学会第41回学術集会
会長 宮腰由紀子
(広島大学教授)

古しえの文化に満ちた奈良において、中木高夫学術集会長の下に開催された第40回学術集会では、多くの皆さまによる活発な発表と討論が展開されました。40回目の節目の祝祭をとの中木先生の思いが実現した、素晴らしい学術集会であったことを、心よりお慶び申し上げます。そうした40年目の学術集会を無事に終えた本学会は、いよいよ50周年に向かう第五旬期に入ります。このたび、その1歩目となる41回目の学術集会開催を次のように御案内させていただけることに、紙面をお借りして感謝申し上げます。

一般社団法人日本看護研究学会第41回学術集会は、2015年(平成27年)8月22日(土)と23日(日)に、広島市の平和記念公園内にある広島国際会議場を会場として、メインテーマ「日本から世界へ 看護、発信! ─ いのちと暮らしを支える 和と輪と環と話 ─」を掲げ、開催させていただくことになりました。学会会員の皆さま、どうぞ御参加下さいますよう、お願い申し上げます。

広島市での開催は、19年ぶりです。本学術集会が、看護実践の基盤となる研究発表と情報交換の場として有意義なものとなるように、中国・四国地方会運営委員会を中心に多くの仲間たちの和をもって、一同、鋭意準備を進めております。また、学会本部の支援の輪と、全国各地から御協力の環も頂戴しており、心から深謝申し上げます。なお、平成26年度8月豪雨災害で生じた広島市北部大規模土砂災害の被害に対し、全国の皆さまから温かい励ましとご支援をいただき、広島市民・広島県民として御礼申し上げます。会場と事務局は南部に在り無事でしたので、御安心下さいますよう御報告申し上げます。

さて、メインテーマの〈日本から世界へ 看護、発信!〉は、急速に変貌する国際的保健医療のうねりの中へ、日本の看護の知をより多く伝えよう、という思いで示しました。日本の看護職者が日々の実践活動で展開している、適切で和やかで丁寧でしなやかな看護を受けた人々や目にした人々は、国内外を問わず、賞賛の声を寄せています。こうした日本の看護活動の知を発信することは、世界の看護の発展にも大きく貢献するはずです。そこで、その期待をこめた基調講演を、エビデンスを蓄積して看護を可視化し発信してこられた、東京大学の真田弘美先生にお引き受け願いました。

発信にあたり、今一度、看護する己れをも相手をも知ることが大切だと思います。そこで、看護の対象である〈いのち〉を考える特別講演を、生物学界で世界的活躍をされている、広島大学の長沼毅先生にお引き受けいただきました。そして、日本文化の底流にあるものを探る特別講演を、各大学機関との古文書調査などに携わられて造詣が深い、日本の古社の一つである御調八幡宮の宮司、桑原國雄先生からいただきます。そして、比較文化社会学・政策学がご専門の九州看護福祉大学のAllan J Sutherland先生に、看護対象の背景にある様々な文化理解についての教育講演を御願いしました。

研究方法関連では、3つの課題を提示させていただきます。1つはビッグデータとの付き合い方です。多種多様なビッグデータと向き合われている東京大学の水流聡子先生に提示いただくデータを中心に、東邦大学の高木廣文先生を交えて、活用に係る課題を考えてまいります。また、よりよい看護提供において各種ロボットをはじめ、工学分野との協働を更に進める必要があります。そして対象者への効果的な介入として語りの技術が進化しております。このような諸側面についての講演をお願いしております。実践関連では、日本の保健医療システムは世界に賞賛されてまいりましたが、今後ますますその必要性が高まっている地域に根差した看護活動について、展開されている実践の御報告をいただきながら、今後の更なる取り組みについて考えるシンポジウムを企画しており、日本からの発信の一つとしてまいりたいと思います。教育関連では、欧州の看護教育の改革の状況を、放射線看護を切り口として御提示いただくとともに、グローバル化の中の今後の教育方法についても討議したいと存じます。なお、これらと関連して幾つかの特別交流集会と、倫理委員会・編集委員会・国際活動委員会からの特別交流集会を御願いいたしております。御集りいただく皆さまがたにより、活発な討議がなされるよう、誠意をもって準備にあたっております。

さて、広島市内の景観は、19年前に比べて随分と変わりました。会場がある平和記念公園内の世界遺産原爆ドーム近くから、世界遺産 宮島への航路が整備されており、広島駅から世界遺産 石見銀山へのルートもあります。呉、竹原に尾道、鞆之浦そして浦瀬戸内海の島々などの海も良し、帝釈峡・三段峡などの山も良し。学術集会への御参加のこの機会を御利用されて、広島県さらには中国・四国の各地にもお立ち寄り下さり、御多忙の中の緩やかな時をお過ごしいただければ幸いです。多くの皆さまの御参加をお待ちしております。